大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)2869 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人長谷川勉の上告趣意第一点について。

刑訴二九一条による手続が終つた後、証拠調に入る前に被告人に対し公訴事実に

ついて尋問しても必ずしも違法であるとはいえないし、またもとより刑訴四〇五条

に定める事由にも当らないことは、当裁判所昭和二五年(あ)第三五号同年一二月

二日大法廷判決の示すとおりである(判例集四巻一三号二八七〇頁参照)。記録に

ついて調べてみると、第一審公判において、裁判官、検察官及び弁護人と被告人と

の間に、所論の如き問答がなされ、検察官による質問に対しては、異議の申立があ

り、これが却下されて検察官が質問を継続した経緯を認めることができる。しかし

右の如き問答や経緯を検討してみても、その質問内容が所論のように、釈明権行使

の範囲を遙かに逸脱し、争点を明かにする必要の限度を越えたものであつて、裁判

官に予断を生ぜしめるおそれのある違法の被告人尋問であるということはできない。

この点に関する原判決の判断は正当である。論旨はそれ故とるを得ない。

同第二点について。

論旨は、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また所論Aの証拠調をしたことが

違法であつてもそれが判決に影響を及ぼすことが明らかな場合であると認められな

いことは、原判決の示すとおりであるから本論旨もとることはできない。

同第三点について。

論旨は、量刑不当の主張で刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べ

ても同四一一条を適用して原判決を破棄すべきものとも認められない。

よつて刑訴四〇八条により全裁判官一致の意見をもつて主文のとおり判決する。

昭和二七年四月二二日

- 1 -

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!